皆様、おひさしぶりです。
これまで教材作りに時間を取られて
なかなかブログを書く時間が
ありませんでした。
楽しみにしていてくださった皆様、
お待たせして申し訳ありません。
m(。≧Д≦。)m
しかし、
ついにテキストが完成しましたので、
再びブログを書いていこうと思います。
今回は、
思春期の子どもたちに関係が深い、
「反抗期」についてです。
ヾ(^∇^)
——
さて、
世の中には
ものすごい反抗期が来る子と
まったく反抗期がない子がいます。
そして不思議なことに、
親の言うことは何も聞かず、
無視したり、不機嫌になったり、
ひどい言葉がでるのに、
塾の先生に対しては
とっても素直でいい子もいます。
これを読みながら、
「ああ、ウチのことだ」と
思い当たっている人もいるでしょう。
これ、
いったい何なのでしょうかね?
反抗期なんて無い方が、みんな幸せのはずです。
ちなみに、
昭島市で使われている「保健」の教科書には、
こう書いてあります。
大人に保護され、無意識のうちに依存した状態から抜け出して自立した大人になろうとするときに、自己形成が起こり、精神状態が不安定になる(p20~25)
はい。
確かに、高嶋もこんな風に教わった記憶がありますし、
みなさんもそうだと思います。
大人になろうとする気持ちと、
実際にはまだ子どもであるという気持ちがぶつかって、
葛藤し、精神状態が不安定になる、
そんな思春期特有の現象が反抗期につながる、
というわけですね。
ネットにも教科書にもそう書いてあります。
塾の先生は、毎日、
思春期の子どもたちと会いますので
本人から保護者のグチを聞く機会も多いですし、
保護者の皆様からお困りの声を聞く機会も多いです。
「先生ぇ~。ウチの親マジでウザぁい。だって…(以下略)」
「先生。もうホントにどうしたらいいですか。ウチの子は…(以下略)」
高嶋も、
思春期とはそういう
「自我が芽生える時期」だと思っていましたし、
そのせいで反抗期が来るのだと思っていました。
そして、
反抗的だったり、
反抗的じゃなかったりは、
子どもの性格によるのだと思っていました。
きっと、
これを読んでいる皆様も
同感だと思います。

しかし、みなさん。
本当にそうでしょうか。

—-

特に女の子に多いと思いますが、
反抗期がない子もたくさんいますよね。
彼女たちには
自立した大人になる気持ちがないということですか?
自己形成のプロセスがなかったということですか?
いや、
むしろ逆ですね。

反抗期がない子の方が
社会性が高く、年齢の割に落ち着きを感じるものです。

実は、
最新の研究を調べてみると
教科書に書いてあることは、
どうも違うみたいなのです。
高嶋は医学の事はまったくの素人ですので、
それを前提にお読みいただきたいのですが、
ちょっと脳の事をいろいろ調べてみました。
すると、
おもしろい実験がありました。
下の図をご覧ください。
被験者は手前にいて、
棚の向こう側にいる人から
「一番上のトラックを上に動かしてください」
と言われます。
これを、
いろいろな年齢の子にやってもらうのです。
読んでいる皆さん。
ちょっとやってみてください。
はい。
やってみましたか?。
これって、
一番上のトラックは2段目にある白いやつですけど、
向こうの人にはこれが見えないわけですから
青いトラックを動かすのが正解ですよね。
白いトラックを動かしてしまう子は
「相手の立場になって考えることがやや苦手」
だと判断できるわけですね。
この実験を繰り返すと、
グラフのような結果になります。
縦軸が正解率、横軸が被験者の年齢です。
やはり、
年齢が高くなるほど、
相手の立場になって考えることが
できるようになるみたいですね。

—-

そして、ちょっと話が変わりますが、
最近では、MRIやfMRIという装置を使って、
「脳の各部位の成長具合」や
「思考中の脳の活動状況」を
画像化できるようになったようです。
ちょっとこの図をみてください。
人間の脳をイラストにしたものです。
緑の部分、
ここは「前頭前皮質内側部」と呼ばれる部位です。
他人の表情や行動から、相手の感情を読み取る能力を司る部位だそうです。
簡単に言うと「相手を思いやる力」に関わる部分です。
もう一個みてください。
色を変えてあります。
ふたつの色が使われていますが、
まず青い部分。
ここは「前頭前野」と呼ばれる場所です。
感情を処理して、行動を起こしたり、抑制したりする部位だそうです。
簡単に言えば、「感情のコントロール」に関わる部分です。
一方で、赤い部分。
ここは「大脳辺縁系」と呼ばれる場所です。
感情を整理したりやりがいを感じたりする部位だそうです。
簡単に言えば、「感情を直接感じる」部分です。
棚を使った実験の結果と、
MRIやfMRIを使って
脳の成長を直接画像化して調べた結果を
融合して考えると、
思春期の子どもたちの脳に関して
ある結論が得られるそうです。
【結論】
思春期の子どもの脳において、
他の部分と比較したときに、
「前頭前皮質内側部(緑)」と
「前頭前野(青)」は特に成長が遅く、
「大脳辺縁系(赤)」は特に成長が早い ※1
この結果を簡単に言うと、

思春期の子どもたちは
「感情を直接感じる」部分の成長が早いくせに、
「感情のコントロール」はできないし
「相手を思いやる力」も未熟だ

ということですよね。

まさに反抗期そのものじゃないですか。

そうなんです。
これが最近になって科学の力でわかってきたことです。
実は、反抗期というのは、
「脳の各部位の成長具合がバラバラだから起こる現象」
だったんですね。

—-

たしかに、
時間が経つと反抗期は次第に落ち着きますよね。
遅れていた脳の部位の成長が追いつくからだと
考えれば合点がいきます。
また、
思春期特有の現象だというのも
思春期=成長期ですから納得できます。
そして、
脳の部位の成長には個人差がありますから、
たまたま均等に成長した子には
反抗期が無いというのもうなずけます。
教科書に書いてあるような
「自己の確立」とか「社会性の獲得」などは
子どもが反抗的になることとは
直接的な関係があまり無いのかもしれません。
思春期の子どもが、
大人に対して反抗的になる原因は、
「脳を構成しているパーツの成長速度が違うから」
なのです。

—-

さて、
実は親子ともにこれを知ると、
だいぶ気が楽になります。
子どもたちは、

感受性が豊かになってきたのに、
それをコントロールできないため
反抗という形でしか表現できないだけだから

です。
大人の側も今まで、

子どもの成長をちゃんと理解できずに
怒っていたということに気づける

からです。
お互いに
たくさん歩み寄ることができるんですね。
心の底から相手が憎いわけではないと理解できるんです。
逆に、
こうしたメカニズムを理解せず、
お互いの人格を否定するような接し方をすると、
もはや修復不可能な嫌悪感を抱くことになり、
家庭崩壊につながってしまった例は
ニュースでもよく見かけます。
では、
理屈はわかったけれど
具体的にどうすればいいのか、
と思いますよね。

母子密着状態と放任の真ん中でいいと思います。

例えば、
叱ってばかりの親、褒めてばかりの親、
あまり何も言わないけれど、
子どもが何をしているのか常に気になってしまう親、
いずれも親の愛情のままに育てるやり方で、
いわゆる母子密着状態です。
こうして育った子どもは
「前頭前野(青)」と「大脳辺縁系(赤)」の成長が遅く、
反抗期も長くなります。
逆に、
「かわいい子には旅をさせよ」と言いますが、
子どもを突き放すことは、社会的交渉の頻度を向上させ
「前頭前野(青)」と「大脳辺縁系(赤)」の
成長を促すことが知られています。※2
このふたつの中間が丁度良いと思います。

「子どもと同じ地面からではなく、木の上から見守る」

くらいの距離感が最適でしょう。
実際に「親」という字は「立っている木から見守る」と書きますよね。
そうこうしているうちに、
いつの間にか終わるのが反抗期です。
「先生。それはわかっていますが、私が言わないと本当に勉強しないんですよ。もう、将来が心配で心配で。」
保護者の皆様から
よく、このように言われます。
なるべく「勉強しなさい」とは言いたくない。
でも本当にやらないから、ついつい言ってしまうと。
しかし、
45,000人のデータから
完全に逆効果であることが
統計的に証明されています。※3
写真のように、
「勉強したか確認する」
「時間を決めて守らせる」
というところまで踏み込まないとダメなんですね。

—-

ということで、
今回はなかなか難しい
反抗期のメカニズムについて書いてみました。
皆様の一助になれれば幸いです。

—-

脚注:
※1)ロンドン大学で、認知神経科学研究所の教授をしているサラ・ブレイクモア先生による

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※2)正高信男『ケータイを持ったサル』より

※3)中室牧子『学力の経済学』p58-61

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