掲示板で「暗記」に関する質問がありましたので、

何回かにわたってご紹介しようと思います。

今回は、漢字の暗記についてです。

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漢字をしっかり覚えるには、
もちろん何回も書くことが大切です。

しかし、
ただ書きまくるだけというのは感心しません。
そうやって覚えても
すぐに忘れてしまいますよね。

漢字は「部首」と「それ以外の部分」に分解して覚えると、忘れにくくて効果的な学習ができます。

例えば「手」に関係がある行動には、「てへん」が使われます。

持つ・打つ・押す・投げる・描く・搾る・操る

どれも「手を使う動作に関係がある言葉」ですよね。

すると、
「えだ」と「わざ」のように似た漢字も間違えにくくなります。

「えだ」は「木」に関係があり、
「わざ」は「手」に関係がある言葉です。

だから漢字にするとこうですね。

「枝(えだ)」・「技(わざ)」

「えだ」は「木」に関係がありますので「きへん」
「わざ」は「手」に関係がありますので「てへん」

が使われているのがわかります。

ではここで、意味をしっかりと把握しておきたい
「部首」をいくつかリストアップしてみます。

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彳 ぎょうにんべん
→交通や道路に関係がある漢字に使われます。
Ex)行・徒・往・復・征・後

氵 さんずい
→水に関係がある漢字に使われます。

Ex)沈・泳・油・海・洗・浄

冫 にすい
→水より冷たい物に使われます。

Ex)冷・凍

刂 りっとう
→刀で分ける物に使われます。
Ex)刊・判・削・剖・剣・割

忄 りっしんべん
→心に関係のある漢字に使われます。
Ex)快・情・悦・悼・慌・惜

礻 しめすへん
→神様やお祭りに関する漢字に使われます。
Ex)社・祈・礼・祖・禅

衤 ころもへん
→衣服に関係がある漢字に使われます。
Ex)袖・被・補・裾・複・裸・襟

——

とくに最後のふたつ「しめすへん」と「ころもへん」は間違いが多発します。

部首の成り立ちはこんな感じ↓で、
衣へん示へん

「しめすへん」は「示(神様)」を
「ころもへん」は「衣(洋服)」をあらわしています。

これを知っていれば、「ネ」をカタカナだと思い
「ねへん」としてしまう間違いもなくなりますね。

こんな風に、部首の意味をしっかりと覚えていれば、
迷ったときにもどちらが正しいかすぐにわかります。

例えば、こちらどうですか。
祖先と複製

どちらが正しいでしょうか?

はい。
「祖先」・「複製」が正解です。

考えてみると
「祖先」は「神様」と関係が深いですし、
「複製」は「衣」をたくさん作ることと関係が深いですよね。

などなど、挙げていたらきりが無いので、この辺で止めますが、一覧が欲しい人、もっと知りたい人は、高嶋のところに来てください。

—-

さて、漢字の暗記の仕方ですが、
他にも手がかりがあります。

それは、日本語の漢字のうち81.5%が形成文字であることを利用します。

例えば「同」、この漢字の音読みは「ドウ」です。
そして、金属という意味を表すときに使う部首は「金(かねへん)」。
このふたつを合わせると「銅」になります。

このように、大部分の漢字は

「音(読み方)をあらわす部分」と「意味をあらわす部分=部首」とに分かれています。

これを利用します。

例えば、「飽和」という熟語、
「飽」の部分が読めなかったとします。

しかし「意味をあらわす部分」である「部首」が、
「食」(しょくへん)であることはすぐにわかります。

「音をあらわす部分」は「包」です。
「包」は音読みで「ホウ」です。

従って「飽」も「ホウ」と読めるのではないか、
だから「飽和」は「ホウワ」と読むのではないか、
と推測できます。

そしてその推測はあっています。

このように、漢字を覚えるときに、
「部首」と「音を表す部分」とに
分けて覚えるようにすると、
非常に効果的です。

ちなみにこれ全部「ホウ」です。
↓↓↓↓↓↓↓↓
【包・砲・抱・泡・胞・泡・飽】

「砲」は「石」(いしへん)なので、石に関係があり、
「胞」は「月」(にくづき)なので、体に関係がある漢字だという推測もできますよね。

すると、
戦争で使うのは「大胞」ではなく「大砲」だし、
生物の体を構成しているのは「細砲」ではなく「細胞」だとわかるはずです。

以上、
漢字を暗記するときのポイントを整理すると、

・部首の意味を覚える。
・「意味をあらわす部分=部首」と「音をあらわす部分」とに分解する。

このふたつを意識しながら漢字を練習すると忘れにくい効果的な学習をすることができます。

参考までに:

漢字の成り立ち4種類

「象形文字 (4%)」
→物の形をかたどって作られた漢字。
EX) 木、日、月、鳥、魚、馬、目、犬、川、山など。

「指事文字(1.5%)」
→位置・数量などの抽象的な意味を直接表しているもの(簡単に言えば指を指して表現できることを漢字にしたもの)。
EX) 一、二、三、上、下、凹、凸、中、本、刃など。

「会意文字(13%)」
→二つ以上の漢字を組み合わせ、その意味を合成して独立した文字とするもの。

EX)
「人」と「言」を合わせて「信」、
「人」と「木」を合わせて「休」、
「火」を二つ合わせて「炎」
「木」を三つ合わせて「森」
「鳥」に「口」で「鳴」など。

「形声文字(81.5%)」
→「音を表す部分」と「意味を表す部分=部首」を組み合わせて、新しい意味を表す漢字。

EX)
金属を表す「金」と音を表す「同」を合わせて「銅」
口を表す「口」と音を表す「及」を合わせて「吸」など。

~~マメ知識~~

日本語には「寺」という文字を含む漢字が結構あります。

【持・待・時・詩・特】

などです。

「持」は「手」に関係しているし、
「時」は「日付」に関係していますので
一応納得はできます。

しかしなぜ「寺」なんだ?

という疑問が残りませんか?

形成文字なんだから「音」を合わせただけじゃん?
とりあえず「ジ」って読めれば良かったんだよ。
そんな気もします。

しかし調べてみるとおもしろい説がありました。

「お寺」はかつて
「役人がとどまって仕事をするところ」であったことから、「寺」には「そこにとどめる」という意味があるそうです。

それを含んだ上で、もう一度見てみましょう。
【持・待・時・詩・特】

うん。
確かに「そこにとどめる」ことに関係が深いですね。

国語の先生になって改めて思います。

漢字の世界、深遠なり

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